『もしもし、蛍?』
「うん、そうだけど。当然電話なんてしてきてどうしたの?」
『明日、蛍がうちの高校に転入してくるだろ。だから』
「ふふっ、それ答えになってなーい」
『とりあえず心配だから電話した。新しい家とかどうしたの?』
「冥ってば相変わらず心配性だね。大丈夫、冥の家の近くのアパート借りたから」


私は明日、幼馴染の冥がいる高校へ転入する。
昔は家が隣だった。けど私が小学5年生の時、親の仕事の都合で海外に渡った。
だから会うのは6年ぶり。冥がどれだけ大きくなっているのか楽しみで仕方がない。


「冥、明日学校につけないかも。迎えに来てほしいな」
『やだ、めんどくさい』
「冗談だってば。今日だってちゃんと1人でいけたし心配ないよ」
『ならいいや。そろそろ寝て明日に備えろよ』
「うん、わかった。おやすみ」
『おやすみ』
「………」
『………相変わらずお互い自分から電話切れないな』
「そうだね。じゃあせーので切ろうか?」
『うん』
「『せーの』」


そういって受話器を置く。
明日冥に会うのがますます楽しみになってきた。
ワクワクしつつも、明日遅刻するわけにもいかないので布団に入ることにした。
目覚ましもセットし、髪をとかして眠りにつく。





『ビアンカ』

………誰…?

『よかった…なかなか目を覚まさないから心配してた』

この声は……冥!?

『一体どうした、そんな驚いた顔して。まさか俺のことわかんなくなった?』

冥じゃ……ない。

「貴方は誰?」
『ビアンカ。そういう冗談はつまんない』
「私、ビアンカって人じゃないです。貴方は一体…?」
『たまにはそういうごっこに付き合うのも悪くないか』
「え……?」
『初めまして、プリンセスマーメイド。俺はメイロンです』
「メイ……ロンさん…?」

随分変わった名前だな…ってマーメイド!?私が!?
よく見たらこの人、腰から下が魚みたい…。



『さぁ、プリンセス。お名前を?』