ほんまの素顔

__キーンコーンカーンコーン



帰りのHRたった1、2分の先生の話でも長く感じてしまう。

そして、HRが終わり急いで校門に向かうと、

「あれ?」

翔の姿がどこにもなかった。

携帯を取り出し連絡してみると、返事は直ぐに返ってきた。

「じーこと、とーまにつかまってもうた」

翔の返事は全部平仮名で返ってくる。

[わかった]と返事をして、止まっていた足を進めた。

今日は家に帰って寝よう。

ついた場所は莉來ちゃんが働いているカフェ。

「俺何してんねん…」

帰ろうと来た道の方を向くと、

「あっ…」

裏口から莉來ちゃんが出て来た。

「どうも」

「どうも」

挨拶が終わると2人とも無言になった。

先に口を開いたのは莉來ちゃんやった。

「それじゃ、」

俺の横を通り過ぎようとする莉來ちゃんの腕を掴んだ。

「…え?」

驚く莉來ちゃん。

「少しだけ話さへん?」

莉來ちゃんは時計を確認して、

「少しなら…」

と言った。

辺りを見渡すと自動販売機があった。

「ジュース買ってくるわ」

自動販売機に走って向かった。

ポケットに入れている財布を取ろうと手を入れると、

…あれ?

鞄の中も探したけど、どこにも財布は無かった。

あ…持っていこうと思って机の上に置いてきてもうた。

「最悪…」

俺が自動販売機の前にしゃがむと、チャリンチャリンとお金の音が聞こえた。

顔を上げると莉來ちゃんが自動販売機にお金を入れていた。

「どれ飲むん?ブラックでええの?」

あ、そうか莉來ちゃんは俺がブラック飲めるって思ってるんや。

せやけど、これ以上かっこ悪い所は見せたくない。

「うん」