ほんまの素顔

俺は封筒を渡した後その場を去った。

あれから数ヶ月の月日が流れ…

それ以来、莉來とは会ってへん。

「紫耀!ここのフリ練習しようや」

「ええで」

紫耀とは前みたいに仲良くなった。

そして明日はコンサート本番…。

それに…莉來が見に来てくれる日…。

「――ゴホッゴホッ」

こんな時に風邪ひくなんて最悪や。

まだ時間あるしベンチで休む事にした。

「頭いてぇ…」

そんな時、

「大丈夫ですか?」

苦しそうにしていた俺に話しかけてきたのは、莉來…。

帽子を深く被って、マスクをしている俺に気づかない莉來。

いや。

気づかないんやない…もう忘れてしまったのかもしれへん。

「風邪ひいてるんですか?」

莉來の言葉に頷くと、

「大変やっ!!えっと…ちょっと待ってて下さい!」

バックの中を探す莉來。

「あぁ…生理痛の薬でも効くんかな?けどやっぱり買ってきた方が…」

なんてひとりで言っている莉來。

ほんまに可愛すぎや。

俺は莉來の腕を掴んで、

「側におってや…」

莉來は隣にチョコンっと座った。

「私が側に居ても治らないと思うんですけど…」

「そんな事ないで…元気でたし」

ふーんって興味無さそうに言う莉來に聞いてみた。

「今からどこか行くん?」

「約束守りに行くんや…私が初めて大好きになった人との約束…」

それって…

「コンサート?」

「え…なんで知ってるんですか…?」

「…っっ。う、そ…」

来てくれへんかと思った。

「もしかして…廉?」

「…せやで」

莉來は勢いよく立ち上がった。

「あ、アホちゃうん!?こんなひどい熱でコンサートで歌ったり踊ったりなんて…」

「それでも見に来てくれてるファンの子のために俺は…」

もう、わかったから…廉は…アイドルは凄いで?

「せやから…安静にしといてや」

こんなに俺のことを心配してくれるなんて…

ほんまに俺、幸せもんやな…

「あかん、それでも行かなあかんねん」

俺は立ち上がり歩き出した。

「廉…」

俺を支えながら隣を歩く莉來。

「なぁ、莉來?」

「んーどないしたん?」

ずっと言いたかった事…

「俺と…付き合ってくれへん?」

「え…!?」

立ち止まり莉來の顔を見ると驚いた表情をしていた。

「そ、それ…ほんまに言うてるん?」

「本間やで…俺は莉來が好きやから」

「今やなくてええから…ゆっくり考えて。な?」

それからしばらくしてコンサート場へ着き、無事にコンサートを終える事が出来た。