ほんまの素顔

――莉來side――




蓮が家を出て行った後、広い部屋に1人で居ることが辛くなった。

いつもは1人で居るのに…

なんて思いながら硝子の破片を拾っていると

「あれ…?」

見覚えの無い鍵が落ちていた。

「蓮のかな?」

そうやったら困るかも。

慌てて家を飛び出した。

そんな遠くにはおらんはずやのに、傘をさして雨の中走り回った。

「…あっ」
おった。

あの後ろ姿は間違いなく蓮や。

「れっ…」

「蓮もわかってるんやろ!」

…え?

「今俺らにとって大事なもんは莉來ちゃんとちゃうんやで!?」

「翔!!」

待ち合わせ場所に着くとびしょ濡れになっていた翔の姿。

「と、とにかく何処かで雨宿りしようや?」

そう言って翔の腕をつかむと俺の手を振り払った。

「なんで…?」

「…え?」

肩が震えている翔。

「翔?」

「蓮、なんで嘘ついたん…?はぁ…。ごめん…]

そう言うと翔は、後ろを振り向き、

「おい、翔!!」

名前を呼んでも振り返ることは無かった。

俺も帰ろうと後ろを振り向くと、傘をさしてボーッと立っている莉來の姿があった。

「何してるん?」

俺は莉來に駆け寄った。

「蓮…?」

「ん?」

莉來は傘を下に置いた。

「……めよう…」

…へ?

声が小さくて聞こえへんかった。

「もう…会うんやめよう…?」

俺の顔を見る莉來。

「な、んで…?」

「やっぱりさ、私達は住んでる世界ちゃうし…」

「けど、俺は…!!」

「もう!…お母さんにも会わんといて。それにバイト先でも今までどおり…他人で居ようや」

「それ、ほんまに言ってるん?」

莉來は一瞬たりとも考えること無く、

「当たり前やん」

そう言った。

「これも返す」

莉來が手に持っていたのは俺の携帯。

「じゃあ、最後のお願い聞いてくれる…?」

「え…?」

「お願い聞いてくれたらもう莉來に関わらへんから」

「…わかった」

俺はバックから一枚の封筒を差し出した。

「絶対に来てや」