ほんまの素顔

「ここやな…」

そんな時、



――ガシャンッ



中から何か割れる音がした。

急いでインターホンを押すと中から誰も出てこなかった。

…気のせい?

ドアノブに手を当て回しみると、

「…あっ」

開いた。

「お邪魔します…」

「出てってや!」

…この声は。

俺は走って声のする方に向かうと、

「莉來!?」

「…な、んで…?」

床に座り込んでいる莉來。

莉來の前に立っている男性。

そして、床に散らばっている硝子の破片。

直感でわかったこの人は莉來のお父さんや。

「何してんすか?」

俺はさっきの話を思い出した。

(「――父親は酒、ギャンブルばっかりで挙げ句の果てには暴力振るうようになって、離婚してるんやけど今でも家に来てるらしいねん――」)

俺は強く拳を握った。

「あかん!」

俺はいつの間にか莉來のお父さんを殴っていた。

俺の拳からは血が滲んでいた。

「何すんねん!」

莉來のお父さんが大きな声を出すと、莉來の肩が跳ねた。

そして、莉來の頬には1粒の涙がこぼれていた。

「……へん…」

「は?」

「莉來を泣かせる奴は、例え莉來のお父さんでも許さへん!」

「――チッッ」

莉來のお父さんは俺を睨みながら舌打ちをして出て行った。

「なんで…?」

震えている声。

「これ、莉來のお母さんから」

そう言って赤いマフラーを莉來の首に巻いた。

「ちゃう…」

あっ。

なんでお父さんって分かったかってことか。

「直感で莉來のお父さんってわかったで」

「ちゃうわ…」

莉來は黙り込んだ。

「なんで…お父さん殴ったん?」

涙を流しながら俺を見る莉來。

そっか…莉來の父親には変わりないんや。

「ごめん…」

莉來は俺の手を強く握った。

「ほんまやで!家の中やったから良かったものの外で人殴ったら大変やったんやで?蓮のあほ!…でもありがとう…」

今莉來俺のこと…蓮って…。

「莉來…」

そんな時、



――ブーブー…



携帯が鳴った。

「ごめん…」

「もしもし?」

「…蓮?」

電話の相手は翔。

「何、どうしたん?」

「……」

翔は黙り込んだ。

「翔?」

「…今から会える?」

今日はずっと莉來と居りたかったんやけど、電話越しでもわかる翔の声はいつもより低く聞こえた。

「ええで」

「じゃあ、行くな」

莉來に無理矢理携帯を渡し、部屋をでると、

「ありがとう!」

後ろから莉來の声が聞こえた。

「すぐ、かけてくるんやで」

翔との待ち合わせ場所に向かう途中雨が降って来た。

「やべぇ…」

俺は走って待ち合わせ場所に向かった。