早春譜

 「ねえ、一回表三者凡退でしたでしょう? 良かったら流れ教えてもらえないかな?」

美紀は試合終了後、直美に話を持ちかけた。

直美は頷いた。


「復習は私の勉強にもなります。試合は残念でしたが……」

直美はそう言いながら、さっきまで記帳していたスコアブックを取り出した。


「さっき『スコアブックには早稲田式と慶応式があるらしいけど、今の支流は早稲田式なのよ』って言いましたが捕捉します。プロ野球では殆どが慶応式みたいです」

直美は詩織に特訓を受けた日々を懐かしく思い出していた。


「四角の中に菱形なんてパッチワークの模様みたいですね」

美紀が言うと、直美はハッとした。


「あぁ、言われてみればそうですね。そうだこのパターン使えそうだわ」


「パターン?」


「私パッチワークもやるんだ。素晴らしいヒントありがとうございます」

直美はペコリと頭を下げた。




 「一回表での三者凡はね」
詩織直伝の直美の解説が始まった。


「最初の打者は三だからファーストね。一番バッターは兎に角塁に出ることなの。四角い枠の横に投球カウントを記入するのね。菱形の中にはアウトカウントや得点など記入するのね大概ⅠⅡⅢね」

美紀は指で確認しながら頷いていた。


「そうだ。これだけ説明しておくね。菱形の右下には打撃結果と本塁から一塁までのプレイを記入するの。右上には一塁から二塁までのプレイを記入するのね。左上には二塁から三塁までのプレイを記入するの。左下には三塁から本塁までのプレイを記入するの。全部ひっくるめて、一人の一イニングでの攻撃になるのよ」


「この丸は何ですか?」


「見逃しでストライクです。中に十字を入れると、空振りです。黒く塗り潰したのはボールなんだけど、ファールやバントファールにも使うの。後二重丸はバント空振り……」


「えっ、私二重丸は良い結果だと思っていました。違うんですね」


「そうテストの成績とは違いますね」

直美はそう言いながら笑っていた。




 「あっそうそう。ライナーが一本棒。丸の下半分なのがゴロ。上半分なのがフライね。三者凡退はね。一番バッターは打つには打ったけどサードでゴロを捕球され一塁でアウト。菱形のⅠは、第一打者なの。第二がⅡ第三がⅢって訳です。右下に五ー三って書いて、五の下に下半分の丸がある訳ね」