正樹は時間の許す限り、智恵の親探しに没頭した。
あちこちの図書館に行っては、古い新聞を読みあさった。
何とか手掛かりを得ようと必至だったのだ。
ある日正樹は東京駅構内にいた。
智恵が放置され、保護されたコインロッカーは、この駅にあったのだ。
数多くのコインロッカーが、所狭しと設置してある。
当たり前の様に使用する若者達。
もしこの中に乳幼児を捨てようとしている者があったら?そう考えると背筋が寒くなる。
暗闇の中で母を求めて必死に泣き叫んだであろう智恵が哀れでならなかった。
正樹はインターネットで昭和四十五年の出来事を検索していた。
日本初のハイジャック事件や自衛隊乱入割腹事件。
その時代の流れの速さを感じる。
それを象徴する新幹線。
大阪万博。
そんな中に、ふと誘拐事件の記事に目を留めた。
それはコインロッカーで智恵の見つかる五日前のことだった。
何かある。正樹は直感した。
その事件は大阪近郊で起きていた。
大阪と東京を繋ぐ真っ直ぐな一本線。
正樹はその時ピンときた。
もし犯人が誘拐した乳児の始末に困ったとしたら、大阪よりも東京の方が安全だと考えたら……
「東京駅のコインロッカー!」
正樹は自分の出した結論を何度も何度も頭の中で繰り返した。
「お前達、甲子園に行ってくれないか?」
学校から帰って来たばかりの秀樹と直樹を待ち構えていたかのように、正樹は言った。
「何だよ。藪から棒に」
秀樹はそうは言ったものの、事の重大性に気付き身構えた。
「これだよ」
正樹はそう言いながら、インターネットで調べた誘拐事件のプリントを二人に見せた。
「四十年も前の事件だから時効は成立している。けれど、子供を誘拐された家族には終わりはない」
「この大阪で誘拐された女の子が美紀のママだって言うの?」
「だから甲子園を目指して大阪に行けって言うの? でも甲子園って兵庫県だよ」
「言われなくても分かってる。ちょうど夏休みだから美紀も一緒に探せるし」
正樹は涙目になっていた。
美紀には幸せになってもらいたかった。
自分のルーツを知ることで自信を持たせてあげたかったのだ。
あちこちの図書館に行っては、古い新聞を読みあさった。
何とか手掛かりを得ようと必至だったのだ。
ある日正樹は東京駅構内にいた。
智恵が放置され、保護されたコインロッカーは、この駅にあったのだ。
数多くのコインロッカーが、所狭しと設置してある。
当たり前の様に使用する若者達。
もしこの中に乳幼児を捨てようとしている者があったら?そう考えると背筋が寒くなる。
暗闇の中で母を求めて必死に泣き叫んだであろう智恵が哀れでならなかった。
正樹はインターネットで昭和四十五年の出来事を検索していた。
日本初のハイジャック事件や自衛隊乱入割腹事件。
その時代の流れの速さを感じる。
それを象徴する新幹線。
大阪万博。
そんな中に、ふと誘拐事件の記事に目を留めた。
それはコインロッカーで智恵の見つかる五日前のことだった。
何かある。正樹は直感した。
その事件は大阪近郊で起きていた。
大阪と東京を繋ぐ真っ直ぐな一本線。
正樹はその時ピンときた。
もし犯人が誘拐した乳児の始末に困ったとしたら、大阪よりも東京の方が安全だと考えたら……
「東京駅のコインロッカー!」
正樹は自分の出した結論を何度も何度も頭の中で繰り返した。
「お前達、甲子園に行ってくれないか?」
学校から帰って来たばかりの秀樹と直樹を待ち構えていたかのように、正樹は言った。
「何だよ。藪から棒に」
秀樹はそうは言ったものの、事の重大性に気付き身構えた。
「これだよ」
正樹はそう言いながら、インターネットで調べた誘拐事件のプリントを二人に見せた。
「四十年も前の事件だから時効は成立している。けれど、子供を誘拐された家族には終わりはない」
「この大阪で誘拐された女の子が美紀のママだって言うの?」
「だから甲子園を目指して大阪に行けって言うの? でも甲子園って兵庫県だよ」
「言われなくても分かってる。ちょうど夏休みだから美紀も一緒に探せるし」
正樹は涙目になっていた。
美紀には幸せになってもらいたかった。
自分のルーツを知ることで自信を持たせてあげたかったのだ。


