その中で、一人。
教室にいる彼に目が止まる。
視線を引き寄せられるような、そんな雰囲気。今まで感じたことがなかった空気に戸惑いを感じながら、ドアから彼を見つめた。
そして、ぱっと顔を上げた彼と視線がぶつかった。
「「あっ、」」
「泡沫さん」
「天舞君」
言葉が重なり、そのあとお互いの名前を呼びあった。
彼が私の名前を知っていたことに少しだけ驚いた。
そして、見つめあって、気がついた。
いつもとは違う、彼。
目までが隠れてしまう前髪をあげていた。
その姿はとても無防備で、とても神々しかった。
なぜだろう。
そんなこと。今までも全く感じていなかったのに。

