『……俺に、逢いたくなかった??』
桐ちゃんの悲しそうな声にあたしは首を横に振る。
そうじゃない。
ただ、信じられないだけ。
「逢いたかった。
いつか逢える日を楽しみにしてた」
これは曲げることのできない事実で。
「桐ちゃん」
あたしは顔を上げて名前を呼んだ。
いつまで意地を張ったって、
ここにいるのは本物の桐ちゃんで
夢なんかじゃなく、現実で。
そんなこと、最初から分かってた。
でも信じたくなくて
信じられなくて
「………嬉しかった
どうしようもないくらい」
本音を言えばこうだった。
『………夏希?
おい、どうした…??』
気づくと頬がグショグショに濡れていた。


