叶ったはずの恋。







『夏希ってそんなバカだった?

大学行ってバカになるってお前、大丈夫か??』


こんな生意気なことを言うこの人はやっぱりこの人で。



『ま、いいや

とにかく車、乗れよ』


腕を引っ張られ抵抗する隙を与えてはもらえず、あたしは車に乗り込む。


車内は終始沈黙で。



『あのさ、夏希

そんなに静かだと調子狂うんだけど??』


でも、そんなこと言われたって何も話せるワケがない。



まだこれが現実だと信じられなくて

隣にいるこの人はきっと、本物じゃない。



『はぁ~…

マジで調子狂うって。
ってか、着いた』


そう言われて辺りを見渡すとどこかの地下で。



『ほら、手』


ぶっきらぼうに差し出された手

どうしていいか分からなくてあたしはその手を凝視する。



『だから…手!

迷子になられたら困るから!!』


そう言ってあたしの手は大きな手のひらに包まれた。

ふと、横顔を見るとほんのり頬が赤くなっていて。



自分からやったくせに照れるなんて…


と、心の中でひねくれたことを考えてみる。