叶ったはずの恋。







突然聞こえたその声にあたしの動きは一瞬にして止まる。

そして胸のドクドクと言う音だけが耳に響く。



『よっ!久しぶりだな!

陽菜!






……………夏希』


ゆっくりと振り返ったあたしの目にはその人以外、何も映っていなかった。


忙しそうに足早に歩く人たちも

排気ガスをふきながら走る車も


隣にいる陽菜さえも


何も、映らなかった。


何も……映したくなかった





「あ!バイト行かなきゃ!

先、帰るね!夏希!!」


気を利かせてか陽菜は早口にそう言うと走り去って行った。



『さて、どこにドライブに行こうか?夏希』

あたしの目の前にいるこの人は本物だろうか

いや…本物、偽物の前にこれは現実なんだろうか。



うん、絶対夢だ。





こんなのが現実であっていいワケがない。






「イタっっ!!」


試しに頬をつねってみたが
どうしようもないくらいに痛かった。



やはりこれは夢ではないよう

だったら…何……??