終わりって、案外簡単に訪れるものみたいで。悲しいくらいあっさりと過ぎ去った。
 
はじまりは、小さなため息。なにか面白いことないかなって。そしたら、それにつられて何人かが集まった。
 
なにか面白いことないかな。べつに面白いことはないけれど。でもなにかを語り合うって、なんとなく楽しくて。秘密組織みたいに、会合とか言っちゃって。
 
はじめての会合のテーマは、初恋。暴露大会?それとも理想の語り合い?でも、みんなそれぞれ違うんだなって実感した一つ。そうやって盛り上がる私たちを、青空が優しく見守っていた。
 
二回目のテーマは告白。でも、愛の告白じゃなくってもいいよね。甘くなくても明るくなくても、告白は告白。そんな違いが面白かった。内緒話するみたいな私たちの声を、雨がそっと隠してくれた。
 
三回目は、忘れちゃったな。でも、四回目は印象的。テーマは潜水。水に潜ると書いて潜水なのに、水に見せかけた違うものに潜る話をした人もいた。私もその一人。ぼんやりとした話をした私を、曇り空が心配そうに眺めてた。
 
五回目はクリスマスと時期が重なってた。せっかくだからって、持ち寄ったお話はクリスマスのお話。私は小さな頃に見た夢の話をした。たぶん、夢。あの時は現実だと思っていたけれど。帰り道には、雪が降り始めていた。
 
六回目はあまり記憶が無い。ただ、綺麗な世界の話をしたかったのは覚えてる。七回目は宝。珍しく、明るい展望を語った気がする。私の宝物って、なんだったかなって、いろいろ考えた。その日は夜に集まった。それまでは昼だったから新鮮だったな。冬の星空って、こんなに綺麗なんだと驚いていた。
 
八回目は雪。昨日見た雪がとても綺麗だったからって、単純な理由。でも、綺麗な雪って珍しいって思った。雪って、冷たいし痛いしすごい勢いで襲いかかってくるし。でも、雪が止んだあとの光を反射した雪原は、綺麗。可愛らしく舞う雪を想像してみた。
 
九回目は、みんなは集まれなかった。集まれたほんの三、四人くらいで話をした。それが最後。
 
気がついたら、ため息で始まった会合は、どこかに溶けて消えていた。溶けあとを探してみたけれど、欲しいものは見つからなかった。

また、はじめみたいにため息。今度はなんにも集まらない。私、ひとり。
 
だから、足跡残して私もサヨナラ。いつかまた会えますように。