「…入れ」
つかの間があり、障子の向こう側から声が聞こえてくる。
紫月は両手で丁寧に障子を開け、中へ入って正座する。
「先日は私自らご報告できずに、申し訳ありませんでした。明日から再び、表界での任務へ戻ります」
本来ならば、報告は随時しなければならない。
しかし、紫月は裏界へ戻った後、すぐに気を失い三日間手当を受けたため、時雨が代わりにしてくれたのだ。
「報告には、表界で中級狩人に襲撃を受けた…となっていたが。…祈光院家も落ちたものだな」
確かに、表界で戦闘したのは中級だった。
頭領となるならば、上級を倒すくらいの力が必要だ。
しかし、あの時は状況が状況だったのだ。
でも、弁解の余地はない。
「…申し訳…ございません。しかし、これは私のミスであって、祈光院は全く関係ございません!!」
今まで紫月に背を向けていた若長は、その言葉にピクっと反応し、ゆっくりと振り向く。
「それは、全てが自分の責に…」
ダダダダダッ
スパーンッ!!
「紫月!!!!」


