「泰羅木殿は、黒鷹衆の専属医務官です」 「じゃあ、今のも霊気で治したのか」 「えぇ。そうよ」 治療が終わったのか、泰羅木は紫月から手を引いた。 「もう大丈夫。力を出しすぎただけみたいね。まったく…馬鹿な子なんだから」 まるで自分の子を見るような目で、紫月を見る。 「今度こそ、絶対安静にしてもらうわよ。日向、要、…ちゃんと見張っときなさい」 「す、すみません」 「へいへい」 それだけを言い、長い黒髪をひるがえし、泰羅木は屋敷の門へと歩いて行ってしまった。