「……!!」 急に紫月が立ち止まる。 後ろで走っていた翔真も、やっと紫月に追いついた。 「テメェ…いい加減に…しろ!」 膝に手をつき、肩で息をしながら紫月を睨む翔真。 しかし、紫月は言い返すどころか、翔真の方を見向きもしない。 「シカトかよ、おい!!」 「……貴様…何者だ」 隣でギャンギャンと吠える翔真を完全に無視し、森のほうを見て言った紫月。 「は?お前…どこ見ていってんだよ…」 ある一本の木を睨んでいる紫月だが、翔真にはただの木にしか見えない。