「ちょっ、どいてくれ!!」 人混みを押しのけて、救急車に近づく翔真。 (なんで…なんでだよ!!) 美弥子は持病も何も持っていなかった。 体も強い方で、滅多に風邪なんかもひかなかったのに。 やっと人混みを抜け、担架に乗った母親にたどり着く。 「母さん!!おい、俺だ!!」 「ちょっと、君!?」 救急隊員の人が、慌てたように翔真を担架から引き剥がす。 「翔真くん!!」 店の入り口の方から、声が聞こえた。 「店長…」