「何が楽なんだ?」
「うわッ!?」
突然、後ろから聞こえた声に驚き、声を上げた翔真。
振り返ると、そこにはあの時の女…紫月の姿があった。
でも、この前あった時とは雰囲気が全く違う。
その理由は、黒い装束着から紺色の着物へと、服装が変わったからだろうか。
「っんだよ、脅かすなよ!!」
「脅かしてなどいないだろう。…全く。そのくらいで情けない声を出しおって」
「出してねぇよ!!つーか、お前はこんなところで何やってんだよ」
「貴様こそ、裏界の入り口の前で何をしておったのだ?」
「?」
ハッとして口を紡ぐ紫月。
「何だよ、その裏界って?」
「…貴様には関係ない。妙な探りは入れるな」
「だぁぁっ、クソッ!!またそれかよ!!目的くらい教えてもいいだろ!?」
翔真の言葉を聞いて、ため息をつく紫月。
「…人を探しているのだ」
「人?誰だよ?」
「…青雅 美弥子(せいが みやこ)様だ」


