「紫月か」
「…はい。黒鷹衆の掟の一…“敵の捕虜となった場合、潔く死すべし”。つまり、敵に捕まっても、仲間は助けにこないということです。本来であれば、私は死人となっていました。ですが、頭は違った…」
以前、梅橋がしてくれた話を思い出す。
(雪乃…っていったか)
見放すべき仲間を、必ず助けようとする。
それが、紫月だ。
「私の命はあのとき、頭に救われた。そして、その日から私の命は頭と、黒鷹衆に捧げると決めました。だからこそ、死ぬときは紅で…頭の下で、戦って死にたいんです」
初めて知った。
時雨が、どれだけ紫月を尊敬しているのか。
過去に、何があったのか。


