パキンッ!!
「あっ…」
(ヤベッ!!)
近くに落ちていた乾いた小枝を踏んでしまい、音がなる。
もちろん、紅の班長を務めている時雨が、そんな音を聞き逃すわけもなく…。
「翔真…さん…」
驚いた顔をしたあと、すべてを察したのか、さっきと同じ、優しい顔で笑った。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「私は、5歳の時に両親を亡くしました。…当時、黒鷹衆は敵と交戦中で、父は“影”と呼ばれる役職についておりました」
庭を眺めながら、静かに話す時雨。
翔真の聞きたいことを察知したのか、自分の過去を自ら語り始めた。
「“影”とは、敵の懐に潜入し、情報を得る者のこと。同時に、最も命を狙われる者ともなります。……私の父は、白嶺の機密情報を手にしていました」
「白嶺っ…て…」
「今回の敵です」
翔真の中で、話の糸がなんとなく繋がった。
「白嶺に、父だけでなく母と私も拘束され、奴らは私の目の前で父と母を殺しました」
“目の前で両親をコロサレル”
まだ、たった5つの男の子には、あまりにも残酷だっただろう。
「父と母の血が流れる地面の上で、私は死を覚悟しました。でも……」


