その日の夜。 (寝れねぇ…) 殺風景な部屋に、一組だけ置かれた布団。 これは、紅の屋敷の空き部屋を、翔真のために用意された部屋だ。 もちろん、置いてあるものはなにもなく、ただ殺風景な和室。 だが、そんなことはあまり気にせず、ここ数日間は過ごしていた。 いつもなら、目を閉じただけでスゥッと眠くなる。 だが、今日はなぜか全く眠れない。 理由はわからないが。 「……外でも出るか」 外は月灯りがあり、雲ひとつない美しい星空が広がっている。 散歩するには最適だ。