「…頭、すみません。少し、外に出ます」 さっきから、終始無言だった時雨が、口を開く。 「あぁ。…分かった」 紫月も心配そうにしていたが、何も言わなかった。 そっと障子を引き、静かに出ていく時雨。 「時雨さん…大丈夫なのか?」 まだ、会って数ヶ月だが、こんな時雨は初めてだった。 いつも穏やかな時雨とは違う、どこか悲しげな目。 「さぁな。私にも分からんが…今はそっとしておいた方がいいだろう」 紫月はきっと何か知っているんだろう。 だが、翔真も要も、誰も何も聞かなかった。