そっと、隣の紫月を見てみると…震えてる。
わずかに、でも、たしかに。
「時雨。…なぜ、今回あなたが外されたのか、見当はついているんでしょう?」
深い瞳は紫月から、時雨へと移される。
「………はい」
「ですが、楓様!!時雨は…時雨は紅にとって、重要な戦力となります!!置いていくことなど、できません…」
訴えかけるように喋り出す、紫月。
再び、女性の視線は紫月へ戻る。
より一層、冷たくなった眼差しを。
「残酷ね、アンタは…」
「…ッ!!」
“残酷”の言葉を聞き、強く唇を閉じる紫月。
要は目を見開き、ただ下の畳を見ている。


