…紫月の様子がおかしい。
それは、この場にいた全員が分かった。
「ハァ……。頭…時雨を外した理由はなんすか?」
落ち着きを取り戻した要。
紅の事を一番知っていて、時雨の能力を評価しているのが、紫月だと気づいたのだろう。
言葉が少し柔らかくなる。
「……それは…」
「相手が白嶺だからよ」
紫月の言葉を遮るように、縁側から聞こえた声。
「この声は…!!」
翔真以外の三人の顔が、一気にこわばる。
そして、声の主が分からない翔真にも、三人が一気にこわばった意味がすぐに分かった。
(なんだよ…この霊気は…!?)
黒鷹衆の長、令の霊気と同じくらい…いや、それよりも強い霊気が、縁側から流れてくる。
ただただ、圧倒される。
ヘタをしたら、体が震えだしそうなくらいに。


