翔真に向きあい、静かに目を閉じる。
…が。
「………。」
いつまでたっても、何も起きない。
そっと、目を開けると、
バチンッ!!
「痛ッ!!」
頭に激痛が走る。
翔真が、紫月の頭をフルスイングで叩いたのだ。
「な、なにをするのだ!?」
「バカかよ!!」
頭の上から翔真に怒鳴られて、つい、体がすくむ。
「…なにが殺せだよ…。ッざけんな!!これから母さんを助けに行くっていうときに、馬鹿な事言ってんじゃねぇよ!!」
「…し、しかし、私はお前を殺そうとしたのだぞ!?」
「…あぁ。だから、これは“貸し”にしておく。そのかわり、俺を強くしてくれ!!」
そう言って頭を下げる翔真を、紫月は全く理解できなかった。
殺そうとした相手を前に、“貸し”だといって、自分を強くしてほしいと頭を下げる奴が、この世界のどこにいる?
普通は、顔も見たくないくらい嫌いになったり、もしくは…。
「……。」
「だぁぁっ、もーいいって!!俺を強くしてくれればいいから!!なっ?」


