「おい、紫月!!」
「はっ!!」
視界いっぱいにうつる、男の顔。
心配そうに、私の顔を覗きこんでいる。
「大丈夫かよ…。どうした?」
「ハァッハァッ……」
(そうか…夢…か……)
最近、寝付きがすごく悪い。
よくあの夢を見るのだ。
「おい…。大丈夫かよ…?」
はっとして、男の顔をみると…
「貴様…なぜここにいる!?」
そこにいたのは、翔真だった。
「あ?あぁ、お前に話があってさ」
(話…だと?)
一瞬で翔真が言っている意味を、理解した。
「そうか…。お前を裏切ったことには変わりない。…殺したければ殺せ」
仕方がない。
上からの命令だとしても、翔真を裏切ったのは事実だ。
それに…。
(コイツになら、殺されてもいい…。最初に会ったときから、なぜかそう思えたのだ)


