あの時の、梅橋の言葉が頭に響く。 『…雪乃は亡くなっていて、長は意識不明の重症。それからだ。紫月があんな堅物になっちまったのは…』 「…あぁ。知ってる」 「そう…」 寝ている紫月の頭をそっと撫でる。 最初に会ったときも、泰羅木は母親に似た視線を紫月に送っていた。 それだけ、紫月のことを大切に思っているのだろう。 「この子を…支えてあげてね…」 「あぁ」 静かに目を閉じている紫月は、ただの小さな少女に見えた。