「心?」
「えぇ。きっと、令の命令がよっぽどショックだったんでしょう」
「命令って……」
(!!)
『この男を…殺せ』
令の言葉を聞いた瞬間の、紫月の顔。
驚きと悲しみが入り混じった表情を一瞬みせ、瞳から光が消える。
そして、
『許せ…翔真…』
そう言った紫月は…泣きそうな顔をしていたんだ。
「この子…強そうにみえるでしょ?」
「あぁ。初めてあったときから生意気な奴だった」
「確かに、この子は強いわ。今じゃ、剣術でこの子の隣に並ぶ者はいない。だけど…」
泰羅木は言葉を詰まらせて、紫月をみる。
「…心はボロボロなのよ」


