ここはどこだよ……。
塾帰り、ハンカチを口にあてられて、気絶して、目が覚めたら手を拘束されていた。
……しばらくすると仮面をつけて顔を見えなくしたヤツが入ってきて、俺を強引にここに連れてきた。そいつが誰なのかを観察する時間もなく、部屋に押し込まれ
「じっとしてろ。」
と言われ、扉が鼻先で閉められた。……なんなんだよ。後ろの手でドアノブを回してみたが鍵がかかっていた。まぁ開くわけないんだけど。扉のことは諦めて部屋を見た時、部屋の中央に僕と同じぐらいの男が2人いるのにやっと気がついた。
1人と目があったので、
「こんにちは。……災難ですね。」
とだけ言った。

部屋は殺風景と言っていい。特に何もなく、灰色で統一された部屋だった。1つ特徴を言うのなら、部屋の四隅に置かれたスタンドランプと中央に置かれた質素な机とイス。イスは机を囲むように5つ置かれている。2人とも手が自由ではないのでイスには座っていたかったけど。
僕も2人のそばに座り自己紹介をした。
「僕はセツナ。君たちは?」
すると、さっき目が合った不良っぽい彼が名を名乗った。
「俺はリョウ。お前こそ災難だな。」
続いて黒髪を少し伸ばしている彼が
「……僕はアキ。災難とか言ってる場合じゃないよ。」

……不良っぽいリョウって人は明るい性格を見せたいらしい。本心では怖がっていそうだけど、結構精神が強そうだ。
逆に、アキって人はかなりの臆病だ。でも頭は良さそうだし、こんな状況でもきちんと頭は回転しているようだ。
イスの数からして、あと2人は来そうだな。
まぁ、ゆっくりと待つとしよう。