変な人に連れてこられた部屋にいた、リョウ……さんは僕より背は低いけど、165ぐらいはあるかな。茶色く髪を染めていて、ピアスを開けていたから不良かと思って話しかけにくかったんだけど、そんなに悪い人でもなさそうだ。それよりもこれから僕はどうなるんだろう。早く家に帰りたいよ。
僕の人生はこんな事とは無縁な人生だった。父親が有名な会社の社長で、僕は一人っ子だったので甘やかされて育った。
それに、昔から外で遊ぶのが好きではなかったから、筋肉も全然ついてない。
それでも、勉強は親にさせられて、かなりレベルの高い高校を目指していた。先生に、僕の成績なら簡単に行けると言われてたのに……。
「嫌になっちゃうなぁ…なんで僕が。」
呟き程度の独り言。リョウさんにも聞こえてると思うけど、彼はあえて何も言わなかった。

すると、僕が入ってきた扉が、開いた。
メガネをかけていて頭の良さそうな顔をした男の人が同じようにして入ってきた。
彼は僕みたいに変なヤツに抗議しなかった。その変わりに部屋を観察したり、扉を調べたりしていた。
僕は、目が合うのが嫌なので下を向いていた。