「そこまでですよ、若様。ずいぶんと逃げ回ってくださいましたね?さあ、西條家に代々伝わる『呪印解放』を渡していただきましょうか」

暗闇の中から一歩、また一歩と姿が現れる。

追い詰められた若い男は壁に寄りかかった。

「ーーーーーー冗談。西條家は古より桜花帝国を影から守り導く一族。『呪印解放』によって与えられる力はそのために使われる。貴様らのような輩に渡すための力ではない」

状況とは裏腹に、男はにやりと笑い面白そうに言った。

「では仕方ありません。若様に手出しはしたくなかったのですが……。逆らうのなら、私も容赦は致しません。ここで死んでいただきましょう」

暗闇の中で鋭いものがキラリとひかり、男に狙いを定める。

それと同時に、男が手を前に出し合わせると男の手に紋章が浮かび上がった。

「西條衆第二十七代目正式継承者西條清重 その名に誓い、我が一族の誇りを違えることは無い」




あたり一面が闇をかき消すかのように光に包まれるーーーーーー。
















ーーーーーーーーーーーーかくして歯車は回り出すーーーーーーーーーーーー。