何度目を擦っても、拭っても、涙が止まらない。 九条くんもきっと困ってる。 あの日の「ごめんね」も助けてもらった「ありがとう」もちゃんと言えてないのに。 「泣くなって………今日はこれで我慢しろ」 九条くんの髪の毛が視界に入った。 日差しを浴びて光るそれは、オレンジ色に輝いて見える。 「え……?」 頭に何かが結ばれた感覚。 そっと触れてみると、確かに何かある。