僕等はまだ恋を知らない




見上げた時も結構高いとは思っていたけど、ここから見ると迫力が違う。



足元に吹く風が異様に冷たい。




こっ、こ、ここっ……こわっ!?!?!?




今になって足がガタガタと震え出してきた。


風船は離すまいと、ぎゅっと固く握りしめるが、足場に気を取られそう。





落ち着け………落ち着くんだ、倉橋澪。


動揺してたら落ちてしまう。




こんなところから落ちたら、茂みに入った時よりなんかより数倍酷い怪我をするに違いない。



大翔は絶対怒るし、沙耶は心配するし、何より私が痛みを味わう事になる。



そんな事態にしてはいけない。