僕等はまだ恋を知らない






「………………ーーーーよしっ!」




数分の格闘の末、ようやく風船まで手が届いた。




「おねぇちゃんすごーい!」


さっきまで泣いていた男の子は、パッと明るい笑顔に変わる。



その愛らしい笑顔を見ていると、私も嬉しくなってしまう。





「って、こんなところでニヤニヤしてる場合じゃないか」



早く降りてこの風船をあの子に届けないと。







…………それにしても。



登っている時は夢中で気付かなかったけど、かなり高いんじゃない!?