僕等はまだ恋を知らない



風船を持って遊ぶって何をしてたんだろ。


そんな泣いてる男の子を無視するなんてできなくて。


「よしっ、待ってて!おねぇちゃんが取ってきてあげる」



男の子を安心させるようににっこりと笑い、風船が引っかかっている木に手を当てた。





高いなぁ………。

近くで見ると結構大きい。


木登りなんて、最後にしたのはいつだろう。



「よいっしょっと……」



木の枝に手を掛けて、ぐんっと体を持ち上げた。


腕の力だけだと、かなり腕が震える………。


ようやく1段目の枝に登れただけで、息が切れる。


目標の風船まではまだかかりそう。