僕等はまだ恋を知らない



「…………っ!?」


パッと唇に手を当てるとまだ感触が残ってる。


一瞬何が起こったのかはわからなくて「ふっ……」と余裕の笑みを見せる九条くんを見ていたら、ようやく確信した。


今のは………。


「キッ、キス!?」


漫画やドラマなんかで見る熱いものとは違い、ほんの少し触れただけだった。

あの一瞬をキスと呼んでいいのかも疑わしいくらい。



「もう、無理して笑うな」


「え?」


「倉橋が言いたいことくらいわかってる」


「………ま、まぁ……そうだよね……」


告白したの忘れるわけないよね。


何時間か前に起こった出来事だもん。