僕等はまだ恋を知らない



九条くんは沙耶が好きで。

私は九条くんが好きで。


交わることない恋愛感情は、砕け散ってしまうだけ。


胸が張り裂けそうなくらい痛い。


「やだ………やだよっ………」


私の声は誰にも届かない。

人気のない廊下に消えていく。


溢れる涙を止めてくれる人も居ない。



保健室から少しでも遠く離れたい。

早く外に、見えないところに。



下駄箱でしっかり靴を履き替え、そのまま飛び出した。