こんなことになっても、目の前に見える光景は何ひとつ変わらない。 沙耶を抱きしめる後ろ姿は間違いなく九条くん本人。 「好き」って、やっぱり…………。 もう、とっくに気付いてる。 声の持ち主も、なぜ九条くんは沙耶を抱きしめているのかも。 信じたくなくて、認めるのが怖い。 九条くんが沙耶を好きだなんて。 こんな真実、どうして知ってしまったの。 辛い。 苦しい。 哀しい。 たくさんの感情が溢れた時には、既に走り出していた。