走って心拍数が上がってるんじゃなくて、緊張のせい。

ドクン、ドクンと不気味な音が全身に響いてる。


沙耶のところに早く行きたいという気持ちはあるのに、体は正直だ。

このまま会わずに帰りたいと唸っている。


このままじゃ弱い自分に負けてしまう。

九条くんだって居る。

沙耶に言わなきゃいけないことがたくさんあるじゃない。


大きく息を吸い込んだら、目の前が明るくなった気がした。

後ろばっか見てられない。



「…………あ、ようやく……」


ようやく保健室が見えてきた。


微かに開いている扉から、保健室のベッドが見える。