僕等はまだ恋を知らない



「く、九条くんっ!?!?」


ベッドの横にある椅子に座り、こっちをジッと見ている。


起きたら誰かが居るとか、ましてや九条くんが居るなんて思ってもみなかった。


ガバッと体を起こすと「具合悪りぃんだから無理に起きんなよ」と心配そうに瞳を揺らす。



「どうして九条くんがここに………」


「鞄届けに来た」


「か、鞄?」



確かに九条くんの隣に私の鞄がある。


それに九条くんの鞄もだ。



「授業終わっても戻って来ねぇから迎えに来てやったんだよ」


「えっ……」


チラリと時計を見ると、掃除もホームルームも終わって帰る時間。


ずっと寝ちゃってたんだ………。