僕等はまだ恋を知らない



そんな哀しい顔で私を見ないで。

そんな傷ついた顔しないで。


悪いのは、私なんだから。




「……….風邪引くよ、沙耶」



転がっていた傘をつかんだ大翔くんが、私に傘を差し出した。



好きじゃないなら、そんな優しい声で名前なんて呼ばないでほしい。


その優しさにすべてを奪われた。


大好きになっちゃったんだよ。





「ごめん………先に帰るね」




「まっ……沙耶!!」