言葉が何も浮かばない。


それどころか夢だったらいいのにと思うだけ。



「冗談だよ」って笑ってほしい。


だって、私…………大翔の気持ちにこたえることができないんだもの。



大翔は簡単に嘘なんかつかない。


嘘じゃないの、わかるよ。


だからこそ辛いの。



「澪が……好きなんだ……」


また大翔の温もりを感じた瞬間に、どうしたらいいかわからなくなる。


ぎゅっと抱きしめる力が強くて。

うるさいくらいの胸の鼓動は私のものじゃなくて。



大翔の手を振り払う勇気が私にはなかった。