ゆっくり歩いていても、昇降口に着くのは早い。 グラウンドを走る大翔の姿をチラリと見ながら、校門まであと少しというところ。 「あの、倉橋先輩」 突然、後ろから声が飛んできた。 「先輩」ってことはもしかして………。 「な、なんでしょうか」 振り向いてようやく確信に変わった。 知らない顔。 たぶん1年生だ。