僕等はまだ恋を知らない



「なんで俺が急にお前のこと誘ったのか、聞かないのか?」


「え?」



ずっと静かに歩いていたのに、九条くんが突然言葉を発した。


驚いて肩がビクッと揺れる。


「たまたま見えたから……?」


「違げぇよ、バーカ」


「っ!痛ったぁー……」



九条くんの白くて長い指先が、私の額を強く弾いた。

ビシッと嫌な音が鳴る。


「デコピンなんて初めてされたよ……」


じわじわと痛みが残る額に手を当ててみるが、この程度じゃ痛みは消えない。


「っうう……」と微妙な声が漏れる。