僕等はまだ恋を知らない



「九条くん?」


涼しい顔をしながら「よっ」と右手をあげる九条くんがそこには居た。


帰る時に九条くんに声を掛けられるなんて初めてかもしれない。



「どうしたの?」


「一緒に帰ろうと思っただけだよ」


そういえば九条くんはどこの部活にも所属していなかった。


私と同じで数少ない帰宅部仲間の1人。



「そう、なんだ」



今まで九条くんから誘われたこともなくて、ちょっとした緊張が走る。