『詳しい事は、知らないわ。
ただ、米田家は、一人称を私、か、僕。にしてた気がしたの』
『……その通りです。
あなた方以外の前では、自分の事を私と言っています。
俺にとって、家の関係ない空間である夜猫や学校は、心が落ち着く場所なんです。
反抗、してるんですかね。
家を継ぐのが、こんなにも嫌と感じるなんて、昔は思っていませんでした』
『……昔?』
聞き返した私に、何かを決意したように顔を上げる壮一。
『俺の事、教えます。
聞いているだけで、いいですから』
その言葉に、私は何も返さなかった。
ー玲彩サイドendー