頑なに譲らない翔を見て、溜息が漏れる。
きっと、私の家の前には今、バイクがたくさん停まっているのであろう。
それを、翔が見たら?
家にいる、バイクの持ち主達が、翔を見たら?
……考えるだけで面倒臭い。
『コンビニでいい。
今日、家に人がたくさんいるの』
だから、バイクの音で質問攻めされたくない。
そう伝えると、渋々翔は折れてくれた。
『……まっすぐ、帰れよ』
『分かってる』
『携帯、アドとケー番入れといたから。
何かあったら、連絡して』
そう言って笑う翔に、慌てて携帯を確認する。
……いつの間に。
倉庫で携帯なんて出していないはずなのに。
そう思い、私の行動を思い返す。
『……あの時…』
携帯ケースを愛哉と愛斗に見せた時だ。
絶対。