黒狼と猫の総長様





『……なんか、いいことでもあったのか?』





そんな私を不思議そうにみる翔に、意味深な笑みで、うん。と答える。






『よかったな』






そう言って私の頭を撫で、バイクにまたがる翔。




『……翔』





私が呼ぶと、驚いた顔で私を見ながら固まる翔。





『……何?』





『お前、今、俺の名前、呼んだ?』





名前?




『……さっきから呼んでる』





『……いや、今が初めてだ』






呼んでたよ。心の中で。






『……そんなの、どうでもいいの。


一言言わせてもらうと、私、バイク、乗れないんですが』





俯きながらそう言うと、意地悪な笑みを浮かべながら翔が近寄ってくる。





『乗せろって事ね』





そう言って私を軽々と抱き上げ、バイクの上に跨らせる。




『……名前、覚えてくれたんだな』





『……仲間、何でしょう⁇


それくらい、覚えるわよ』






そんな、私の可愛くない返答に笑いながら、翔はバイクのエンジンをかける。






『しっかり、捕まっておけよ』





『……ん』