黒狼と猫の総長様




『……変わって、翔』



マイクを翔から奪い取り、大きく息を吸い込む。



私だって、翔を渡すつもりはない。




『私は、咲神翔を婚約者にします』




私の言葉に、ますます会場中が騒めき始める。


それでも構わず、笑みを浮かべる。




『文句なんて、受け付けません。

私は、翔と決めましたから』




そう言うと、一瞬静まり返った会場から、ポツポツと拍手が聞こえ始める。




だんだんとそれは輪を広げて大きくなっていき、私と翔に大きな拍手が送られる。



『……歓迎、されてるの?』



『だろつな』




『……勝手に決めてごめん』



『俺も、そのつもりだったし』




謝る私の頭に手を置き、フッと笑みを浮かべる翔を見て、私も笑みを返す。



そんな私達のいる舞台に、愛哉達が走って登ってくる。




『『おめでとう!』』




『……おめでと』




『おめでとうございます』





口々にそういうみんなから、翔が私を隠す。



『……翔?』




『会場、出るぞ』




疑問に思った私の言葉なんて気にせず、また私の手首をつかんで引っ張っていく翔の後を、転ばないように急いでついていく。


『ちょ、翔?』




会場から出た瞬間、イキナリ立ち止まった翔の背中に思いっきり額をぶつけ、自分の額をさすりながら顔を上げる。



『……ほら、見えた』