黒狼と猫の総長様





『……ちょっと、失礼します』




断ろうと口を開いた私を止め、大人達に向かってそう言った翔。



『君は咲神の……』




『そうです』





誰かが呟いた言葉にかけるが笑いながら返す。


翔は翔で有名なのか。

まぁ、咲神は結構財閥の助けにもなっている組だから、知っていて当然か。




『……玲彩』




私の名前を呼びながら手首を掴み、大人達の間を割って進む翔に、慌てて足を動かして進む。



『……翔?』





私の言葉に立ち止まらず、スタスタと歩いていく翔は、何故か、会場の真ん中にある丸い台の上に登っていく。




いきなり現れた私と翔に、いろんな人の視線が突き刺さる。



『翔?』




再び私が翔に呼びかけると、私の方を見て、笑みを浮かべた翔は、舞台の真ん中にあるスタンドマイクからマイクを外し、口元に持っていく。




『……皆さん』








そして、発した翔の声をマイクが拾い、会場中に翔の声が響く。