そうしなければ帰れませんよ? と、笑みを浮かべてそう言う月夜を、まじまじと見つめる。
……冗談、を言っているわけでは無さそうだ。
『少し、良いでしょうか、黒羽様』
私が口を開こうとした瞬間、見たことのない男の人が私に話しかけてくる。
『……なんでしょう?』
そんな男の人に、無表情で聞き返すと、少し怯みながらも何かを私に差し出す男。
『……これは?』
『婚約者をお探しのようでしたので、うちの息子をと』
そう言って差し出した何かを開いた男がそう言って作り笑いを浮かべる。
この事態に月夜の方を向くと、言わんこっちゃ無い。という表情を浮かべる月夜と目があう。
『黒羽様!
是非、うちの息子と!』
『いいえ、うちと!』
そう言いながら次々とお見合い写真を手に私の周りに集まってくる大人達を、無表情で見る。
そんな私にひるまず……と言うよりも、気づかずに私に詰め寄ってくる大人達。
……仕方ない。
私、この中のだれとも付き合う気も、婚約する気も無いし。



